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書店併設カフェの運営が成立している3つ仕組みと1つの魔法

ライフハック
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最近、よく見かける書店形態である書店併設カフェ。
スタバやタリーズなどシアトル系のカフェの美味しいコーヒーと共に、資料の宝庫である書店の本を購入前に持ち込んで読むことができる魅力的な場所です。ブログのネタをまとめるときに利用することが多くなってきました。

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大人気の書店併設カフェですが数々の疑問がわいてきます。なぜカフェを併設する?なぜ購入前の本を持ち込める?汚しちゃったら?書籍の売上げは?カフェの売上げは?などなど。ボクなりに書店併設カフェについて調べてみたのでまとめてみました。

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この歳まで知らなかった本屋さんの仕組み

おじいさんが一人で店番している小さい本屋さんてありましたよね。小さい本屋さんはお客の出入りが少ないので、中学生くらいの頃はよくムフフやオホホな雑誌を購入していたものです。

書店のマージンは20%程度といわれています。週イチ定休日で書籍平均単価を1,000円とした場合、1日あたり10冊程度書籍販売で売上は毎月50,000円程度。
1,000円x10冊x25日x20%=50,000円
ちょっとしたお小遣い稼ぎにしかなりません。

老後の道楽で運営するにはリスクがあるのではないかと思うかもしれません。仕入れたけど売れなかった書籍や、値下げや在庫処分はどうするの?と思いませんか。しかし出版業界には、恥ずかしながらこの歳まで知らなかった驚くべき仕組みがあったのです。

出版業界のおおまかな仕組み

出版業界は「出版社→取次(出版販売会社)→書店」という仕組みになっています。

  • 出版社 – 企画・執筆・編集・入校・校正・印刷・製本を行い、取次に売込む。
  • 取次 – 出版社と交渉し条件やスケジュール、数を決定し各書店へ配本する。
  • 書店 – 入荷した書籍を分類し(付録セット作業等)店内に陳列して販売。

これが出版業界における流通の流れです。

出版物は1年間で約75,000点、1日あたり200点もの新刊が発行されています。
取次は、出版社と書店の物流・金・情報などの労力とコストを取り次ぐことで、膨大な出版物を効率的に流通させ消費者に供給しているという仕組みです。

出版&新聞ビジネスの明日を考える:日販とトーハン、2大取次が寡占する日本の出版流通事情 (1/4) – Business Media 誠

日本の取次シェアとしては、1位は日本出版販売(日販)2位がトーハンで、この2大取次だけで業界シェア70%を超えます。3位が大阪屋で最近楽天傘下になりました。

日本出版販売 – Wikipedia

トーハン – Wikipedia

大阪屋 – Wikipedia

軽く調べただけでも、とても歴史ある業界ということがわかります。

再販制度という仕組み

書籍は定価が決められており値下げすることができません。出版社は自社の商品の販売価格を決め販売先に守らせることができます。これが「再販制度」です。

ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の販売価格を指示しそれを遵守させる行為を「再販売価格維持行為」といいます。
もちろん定価販売を強制することは、自由な競争を制限されるおそれのある行為であり独占禁止法で禁止されています。しかし著作物および公正取引委員会の指定を受けた商品(書籍・雑誌・新聞・音楽ソフト(レコード・カセットテープ・音楽用CD)のいわゆる「メディア四品目」は例外とされているのです。この仕組みを「再販制度」と呼んでいます。

書籍の定価制が著作者を保護していることで著作物の多様性を担保し、結果的に読者の利益につながっている。これが再販制度の本来的な意義となっています。

再販売価格維持 – Wikipedia

再販制度 | 一般社団法人 日本書籍出版協会

委託販売制度という仕組み

再販制度で書籍の価格を下げることができないため、販売先である書店は他店との価格競争がありません。つまり売れ残りや在庫を抱えてしまうリスクが大きい。そこで出版業界では「委託販売制度」を採用しています。価格競争がない代わりに商品は”委託”という取引形態で仕入れ、定められた期間内であれば、売れ残った本を返品できる制度です。

委託販売制度のメリットは、一般的でない専門書や学術書など発行部数が少ない書籍を書店に並べることができることです。人の知識の維持・向上に寄与していると言えるでしょう。

デメリットは返品率の高さ。雑誌で30%強、書籍で40%弱という返品率です。立ち読み等で汚れたり破れた”汚損本”も軽度な汚損であれば返品できます。この返品率は出版業界の大きな課題です。

委託販売 – Wikipedia

タダだったことを利益に変える書店併設カフェの運営という魔法

出版業界は「再販制度」と「委託販売制度」によって成り立っています。極論ですが、書店は書店を維持できる売上げがあれば成り立ちます。しかし出版業界は書籍以外の娯楽(ネット、メール、SNS、ゲーム等)に時間と売上げを奪われっぱなしです。書店はレンタルや物販小売で利益を上げようとしました。TSUTAYAでも家電製品や文房具等を販売していますよね。

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書店は集客しないと現物である書籍を買ってもらえません。消費者が自ら足を運ぶ必要がある。消費者としてはめんどうです。だってアマゾンで買えるんだもの。消費者が書店に足を運ぶ唯一のメリットは「立ち読み」ができることです。

書籍の平均価格は1,000円程度。ビジネス書などは1,500円〜2,000円程度。
本の平均価格推移1997年-2010年【FAX DM、FAX送信の日本著者販促センター】
その書籍が購入するほど参考になる内容の書籍なのかを判断したくなる金額です。
アマゾンでも購入前に内容を何ページか確認できる「なか見!検索」がありますが、読んでみたい部分を選択することはできません。読めるのは決められた何ページかだけです。

書籍はその著作物の内容もさることながら、本の帯や印刷物の質感(色やデザインや紙など)も楽しむことができます。そういうことでも制作者の意図を感じることができると思います。人の想いを伝えるという意味では大切なことです。

書店併設カフェの多くは書店経営者がカフェ事業者とライセンス契約を締結し屋号と仕組みを借りています。書店併設カフェを運営するのは書店のスタッフです。書店併設カフェなのでカフェの売上は書店側に入ります。

プレスリリース スターバックス コーヒー *ライセンス事業の開始により出店戦略を強化 | スターバックス コーヒー ジャパン

プレスリリース スターバックス コーヒー ジャパン とカルチュア・コンビニエンス・クラブ Book & Café コンセプトの店舗の展開に合意 | スターバックス コーヒー ジャパン

書店併設カフェを利用する消費者のメリットは、購入前の書籍をカフェでリラックスして読めることです。

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書店併設カフェを運営する店舗側のメリットは「タダの立ち読み」が「飲食代」という利益に変わることです。
デメリットとしては、コーヒーやピザを飲食した手でページをめくったりすれば本は汚れます。ひどいときは破れたり、コーヒーをこぼしてしまったり…。そんな”汚損本”をそのまま書店内に戻されないように「返却場所」があります。書店員さんはこの返却場所に山積みされた書籍をチェックし、書店内に戻したり汚損本処理にしたりで大忙しなことでしょうか。

「タダの立ち読みが飲食代という利益に変わる」これが書店併設カフェの魔法です。

まとめてみた

今回は「書店併設カフェの運営が成立している3つ仕組みと1つの魔法」ということでボクなりに調べたことをまとめてみました。長くなりました。

恥ずかしながらこの歳になるまで出版業界や書店運営の仕組みはまったく知りませんでした。そして知れば知るほど制度にがんじがらめで身動きを取りにくい業界なんだということもわかりました。緊急課題は「電子書籍」です。

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現在、電子書籍に再販制度は適用されません。公正取引委員会のHPにて「電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象とはなりません」と記載されています。

電子書籍 – Wikipedia

Q14 電子書籍は,著作物再販適用除外制度の対象となりますか。
よくある質問コーナー(独占禁止法):公正取引委員会

電子書籍が安く購入できるのは消費者からすればうれしいことです。しかし電子書籍は流通のない著作物です。「著作者の保護」「著作物の多様性の担保」「読者の利益」という再販制度の意義からかけ離れていると思います。

再販制度は1953年の独禁法改正時に導入された制度です。書籍を読まずとも膨大な情報を入手できる現在のネット社会を当時は誰が予測できたでしょうか。

再販制度と委託販売制度のセットは有効なのだと思います。アップルやアマゾンなどが開拓している電子書籍市場を含め、現代の出版のカタチにふさわしい制度に再構築することが出版業界の課題なのだと感じました。

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ボクは書店併設カフェでコーヒー飲みながら書籍の内容を確認して購入するのが大好きです。いつも持ち歩いていたい書籍は、対応していれば電子書籍で購入しiPad mini で読んでいます。超急ぎでなければ書店に足を運び、書店併設カフェでゆっくり内容をみてから、書店で購入するも善しアマゾンで購入するも善しなのではないでしょうか。

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